第一歌集でありながら遺作となってしまった
『滑走路』を読みました。
太陽のような光に出逢いたく林檎をぱーんとふたつに割りぬ
萩原さんの歌は、
確かに他の方が仰っているように、
技巧や表現手法のバラエティさには富んでいないと思います。
でも、私はそれでもいいと思います。
みんながみんな凝った、巧いものを出さなくたって良い。
この歌集は全体的に前向きに生きていこうという意思が感じられ、
それが切なくもあるのですが、
なんだか応援したい気持ちにさせられます。
紐引けば花咲くように電灯のともりて学びの時間になりぬ
停留所に止まってバスを降りるときここは月面なのかもしれず
天丼を食べているのだ 愛しても愛しても愛届くことなく
この辺り好きな歌。
「花咲くように」とか「月面」なんていう比喩が良いですね。
三首目は後半に多くなるパターンですが、
現実を現実として受け止めている姿勢が
よく見えるようです。
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